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2019-05-17

ハン詩集

ハンさんは、仏教僧で、瞑想指導者、著作家、平和活動家、そして詩人。

この中で、妙にストンと腑に落ちた詩があるんです

輪廻転生、涅槃、慈悲、そういった仏教の教えが散りばめられた、素敵な詩だなと。

この世界観を感じることができたら・・・相当、じんわりとあたたかい心になるはず・・




『触地印(そくちいん)』




死は 風変わりな鎌を手にやってきて言う

「俺のことが怖いはずだ」と

私は目を上げ答える

「なぜ恐れねばならないのか?」

「私はおまえに死をもたらし

存在無き者とすることができるからだ」

「存在無き者とするとは どのように?」

死は答えなかった

風変わりな鎌をひと振りしただけで

私は言う

「私は来る そして去る

さらにまた来る そしてふたたび去っていく

私はつねに帰ってくる

あなたが私を存在させたり させなかったりすることはできない」

「どうしてまた来るとわかるのか?」死は言った

「数えきれないほど繰り返してきたからだ」

「おまえの言葉がほんとうだと どうすればわかる?

だれが証明できるのか?」

私は大地に触れて言った

大地が証人だ わが母なる大地が

そのとき死は 音楽の調べを聞いた

そのとき死は 十方から鳥の声を聞いた

そのとき死は 木に花が咲くのを見た

死の前に大地が姿を現した

そしてやさしく微笑みかける

死は大地の愛の眼差しの中に溶けた

愛すべき人よ

恐れがあるならいつでも大地に触れよ

しっかりと触れるとき

悲しみは溶けさるだろう

しっかりと触れるとき

あなたは不死に触れるだろう

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